
「 決算書 」という言葉を辞書で調べると、
「企業の会計で一会計期間の経営成績と期末の財政状態とを明らかにするための書類」
と書いてあります。
まあ、そりゃそうですが・・・・・と前置きしたうえで、ついつい話をしたくなるのです。
聞いてください。
決算書には大きく分けて、
期末の財政状態を表す 「貸借対照表」
一会計期間の経営成績を表す 「損益計算書」
最近注目されている第3の財務諸表、資金の出し入れを示す 「キャッシュフロー計算書」
の3つに分類されます。
なぜ3つに分ける必要があるのかというと、それぞれの書類にそれぞれ上に挙げたような別々の役目があるからです。
判りやすい日常会話に例えると、
「ねえ今、幾ら持ってるの?」 が貸借対照表
「どの位儲けているんだよ? 教えてよ」 が損益計算書
「この前貸した金は一体いつ返してくれるんだよ?」 がキャッシュフロー計算書
こんな感じでしょうか?
「今、幾らお金を持っているか?」と、「幾ら儲けているか?」は全然意味が違いますし、同じようにお金の出し入れが激しいイコールお金持ちという訳でもない。
それぞれの役目については別のページで詳しく述べていますので、ご参照ください。
「決算書」は経営者にとっては、1年の成果を示す成績表みたいな感覚があるでしょうし、できあがった決算書を見せられながら、税理士さんに褒められたり、叱咤激励されたり、あるいは深刻な顔で「 どうしましょう・・・・・。 」と逆に相談されたり(実話)している訳です。
取引銀行も、決算が終了したら「早く持ってきてください!」と、うるさい位、催促の電話を掛けてくるほど大切な書類です。
なおかつ経理のプロフェッショナルが法律の定めに従って作っている書類ですから、これさえ見れば、あなたの事業の内容は全て丸裸・・・・・
では、無いのです。
残念ながら。
「決算書」とは、あなたの事業内容を完全に把握するものでもないし、むしろ大いに勘違いさせる仕掛けやトリックが仕込まれた書類 なのです。
そのトリックの1つに「損益計算書」の中の「減価償却費」、「貸借対照表」の中の「固定資産」というものがあります。
このことも別ページで説明しています。
「決算書」には、事業の中身を明らかにするための書類であると同時に、毎年1回、税務署に事業内容を申告する。という2つの目的があります。
その2つの目的を1つの書類でやってしまおう・・・というところに矛盾が生じるのかもしれません。
知っていただきたいことは、税金を計算して徴収するためには、統一された「ルール」や「決め事」、「仕組」がある。ということです。
本当は自由なルールで「決算」をして良いことになっていますが、税金を計算するときに統一ルールに戻されるので、そんな面倒なことをする会社は皆無に等しいのが現実です。
そして、そのお役所の決めたルールが、あなたの事業の実態と、ぴったり合っているなら何も文句はないのですが、総じて実体より「紙の上の利益」が勝る傾向にあるということです。
「何か実感が湧かないけど、儲けているのなら従業員に還元しないとね。」
とか
「儲かっているのなら、今のうちどんどん設備投資しよう。」
と、勘違いをしてしまうのです。
また、
「税金を払うくらいなら、お金を使って経費にしたほうが良い。」
と、あきらかに間違った解釈をしている経営者の方も数多く存在します。
「節税」の本来の目的を履き違えていませんか? と問いたいのです。
「節税」をする真の目的とは、少しでも社外にお金を流出しないようにする。
というものです。
その真の目的を忘れて、税金を安くすることだけに血眼になったり、必要の無いものを、出て行く税金以上のお金を出して購入したり。
「決算書」は税金を決めるための道具であり、経営を秤にかける便利な道具ではあるけれど
鵜呑みにしてはいけません。
あなたの事業を薄ぼんやりとしか照らしません。
しかしながら、世の中には「会計の世界」を妄信している人も沢山居ます。
簿記をしっかり勉強している人ほど決算書の絶対性を信じるのです。
なぜなら帳簿は、毎月の請求書や日々の現金の出し入れ、通帳に記載されているデータを基に作り上げていくものですし、日常の仕訳は全て事実を基に行うのですから無理もありません。
「枝」を見れば、なるほど事実の積み重ねですが、少し離れて会計と言う「木」、または「森」全体を見つめてほしいのです。
決算書に書かれている数値を利用して事業の判断をしようという「経営分析」というものがあります。
しかし、からくり・トリック満載のあやしいデータを基に分析しようとしても、これはもう何も説明はいりません。
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(そういう私も、昔は「経営分析信者」でした。)
実際、経営者の方々には、ぜひ知っておいて頂きたい分析というものもありますが、そんなに数多くはありません。
時間を掛けてあらゆる角度から分析して出た答えが
「そんなこと、とっくに判っているよ。」
こんなことになるのです。
私が沢山の経営者の方々と話をして感じるのは、紙の上の理屈ではなく、経営者が肌で感じる 経営の問題点、こちらのほうがはるかに本質を突いていることが多いのです。
しかしながら、あなたの取引銀行は、そんな決算書を使って、あなたの会社を理解し、更には格付けまでしている訳です。
実体や何やらはちょっと横に置いて、銀行の皆さんが好ましいと思う、にっこり笑ってもらえるような決算書を作らねばならない。
これもまた、現実です。
最後に、これから「会計」というものを学ぼうとしている経営者や起業家の皆さんへのアドバイスです。
まずは、「決算書」のあやしさ、不確かさ、などの「森」の部分を勉強したうえで、そのあとで自分に必要な技術を身に付けてほしいと思うのです。
最初にいきなり簿記の勉強をして、「貸方?」「借方?」・・・・・???
これは正直あまりお勧めできません。
お互い、道具に振り回されるのではなく、道具を使いこなす経営者でありたいものですね。