
経営者にとって最も必要な能力を挙げろ…。と言われたら、どんなことを思い浮かべるでしょうか?
「売り上げを作る能力」
「人を動かす能力」
「状況を把握する能力」
・・・・・など色々頭に浮かんできます。
「経験」 「知識」 「人間的魅力」 「行動力」 どれもが経営者に求められる資質だと思うのですが、こと数字のことになると、こんなことを言う経営者の方も少なくありません。
「売って売って売りまくるのは得意なんだけど、会計のことはさっぱりなんだよ。」
「税理士先生にまかせっきりなんだ。 訳わかんなくて・・・・・」
「勉強しようと、セミナーに行ったり本を買ったりしましたが、あっという間に挫折しました。」
非常によく判ります。 だって本当にそうなんです。
「会計の専門家は、自分の権威付けのためにわざと難しく説明しているんじゃないか?」って思うこともしばしば。
ただでさえ複雑怪奇な「会計」を、更にオブラートでくるんで、あらゆる理屈をこねて・・・・・。
経営者の方々が、できれば目をそむけたくなる気持ちも判るのです。
でも、どんな小さな事業であっても、数字の世界から逃れて成功することって有り得ないと思うのです。ずっと未来永劫、右肩上がりの経営なんて夢の夢ですよね。
「会計」というものは経営がイケイケのときは、それほど重要に感じないかも知れませんが、ちょっと勢いが止まったり、苦しくなってきたときには、ありとあらゆる問題点や課題を突きつけてきます。
そんな大事なものだと、私は確信を持っています。
![]()
普段、目にしている試算表や決算書は、あなたの事業の本当の姿を表していない。
と言ったら、どう思いますか?
そこに記載されている利益が、本当の利益ではない。 と言ったら、どう思いますか?
顧問税理士の先生に「この数字って嘘ですよね?」って聞いたら、多分全員「えっ、本当ですよ。何言ってるんですか!」って答えますよね。 怒られるかもしれません。
「利益は出て税金も払っているっていうのに、全然ピンとこないんだよね。 お金も無いし。」
「銀行は業績悪いって融資断るけど、そこまで言われる程では無いと思ってます。」
こんなことを感じたことはありませんか?
その感覚は非常に的を得ていると言えます。
「この数字は正しいんです!」と言うのは、丁寧に言い直すと「この数字は税法上、正しい方法で計算されているんです!」と言うことなのです。
そして、その税法上正しい方法こそが、帳簿と実体がかけ離れる原因を作っているのだとしたら、どう思いますか?
でも、本質に気づいていない専門家も沢山います。 だからあなたの事業の現状を無理やり決算書の数値だけで説明しようとするのです。
金融機関も、あなたの事業の業績を決算書だけで判断しようとして、本質を見誤るのです。
あなたが感じている「会計」に対する違和感の正体はこういうことなのです。
![]()
本当の実体は、預金通帳と金庫の中にあります。 もう1つ付け加えるとすれば経営者の財布の中です。 (中小企業と経営者個人の経済状況は密接な関係にあるからです。)
決算書に書かれている利益が本当の利益ではない、と言いましたが、あなたの事業の通帳に書かれている金額や、金庫の中のお金は紛れも無く実体です。
その実体であるお金(資金)を管理してこそ、あなたの事業の本質が見えてくるのです。
何年も赤字続きの会社がきちんと存続できたり、黒字続きの会社が突然巨額の資金不足で倒産したり・・・・・。 本当に決算書だけでは本質は何も判りません。
「いかにお金を減らさないか? いかにお金を増やすか?」
これが事業経営の本質です。
それだけです。
そこには小難しい理屈も、訳のわからない公式もありません。
「お金をなるべく減らさないよう、なるべく増やす経営を目指す。」と言うと、何やらあまりに単純で低レベルな雰囲気を醸し出しているように聞こえますが、「会計」の世界、「経営」の世界を深く深く学んでいくと、必ずここに辿り着くのです。
書店でできるだけ分厚くてボリュームたっぷりの「管理会計」についての本を試しに買ってみてください。
難しく難しく、なるべく訳が判らないように、でもどの本も結論は結局、資金繰りが大事で、目標を設定しろ!と書いてあります。
私はそんな言い回しが大嫌いですけど・・・・・。
入ってくるお金と出て行くお金の視点から経営を眺めていくと、
「幾らの売上げを上げるために、幾らの経費を使っているのか?」
といった損益のことだけでなく、
「売上がいつ、どのようにお金に変わるのか?」
「経費はいつ、お金として出て行くのか?」
といった入出金タイミングのこと、
「このままだと、いつ、幾らお金が不足してしまうのか?」
「今期の税金は幾らなのか?」
「銀行にどのタイミングで幾ら借入を申し込んだらいいのか?そして、どの位の期間で幾ら返済したらよいのか?」
などなど
・・・・・
全てが現実的に、具体的に感じられるのです。
「え〜決算書から経営分析したところ、総資本利益率および流動比率が悪化しております。
御社の経営安全率は57%です。」・・・・・どうですか? 全くピンときませんよね。
「今のまま経営を続けていくと、5ヵ月後に預金残高が0円になり、12ヵ月後には230万円の
資金ショートが発生します。」・・・・・こちらはどうですか?
はっきりとイメージできますよね。
あなたがやらなければならないのはこういうことです。
「うちではキャッシュフロー計算書というものを作っているよ。」
意識の高い経営者の方々も沢山いらっしゃいます。
しかしながら、多くの経営者は「結果偏重型」から抜け出せていません。
普段、試算表や決算書しか眺めていないのだとしたら、無理もありません。
もし、あなたが来月、再来月、半年後、1年後、3年後まで自分の事業を守りたいのであれば
「結果偏重型」から「予測重視型」に頭をシフトしなければならないのです。
私の言う資金管理とは、先月のデータをチェックするというよりは、未来のデータを把握する。
そんなイメージです。
経営者は、いつもいつも「決断」の連続です。
過去のデータだけで「決断」するより、しっかりとした裏付のある未来の予測データに基づいて「決断」したいものです。
あなたを、そしてあなたの事業を守る最大のツールは、「資金繰り表」なのです。
私は断言しますが、試算表や決算書は、精度の高い「資金繰り表」を作るためにあるのです。
(税理士の先生や税務署にとっては税金を計算するためにあるツールですが・・・)
試算表や決算書の数値をあやしい、あやしい、と言っているこんな私ですが、(そのあやしさについては別のページで詳しく述べてありますのでご参照ください。) 道具としての試算表や決算書の役目は、大変大切なものだと感じています。
昔、複式簿記を苦労してマスターしたときは、あまりの巧妙な仕組みに感激したものです。
精度の高い「資金繰り表」を作るには、きちんと処理された試算表・決算書がとても重要なのです。
精度の高い「資金繰り表」を作ったら、そこから先は「予測」と「実績」の比較を開始しなければなりません。
作りっぱなしの「絵に描いた餅」にするのではなく、見比べることで問題点・課題を浮き彫りにするのです。
![]()
(このサイクルをPDCAサイクルと言うそうですが、そんな言葉は覚える必要はありません。)
この反復こそが安定経営への確かな道筋と言えるのです。
「資金繰予定表」とは、きわめて具体的な、そして白黒はっきりと答えが出る「経営の目標」と言えるでしょう。
実用的で確実で、紛れも無い実体である「お金」について目標設定をする。
そして、その達成方法を考える。・・・・・これこそがあなたの事業を守るということなのです。