事業計画書・資金管理のオフィスタカハシ

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高橋啓一 男のブログ やれんのか?日記
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高橋啓一プロフィール

1965年10月4日生まれ
B型/天秤座

銀行、医療機関、建設業、社会保険労務士事務所勤務を経て、2005年2月に独立開業。

渉外、融資、経理、総務など幅広い業務に従事。20年以上に渡って、金融、会計の世界で、のたうちまわる。

現在「資金管理アドバイザー」として、中小企業経営者・起業家たちと日夜奔走するかたわら、障がい者自立支援団体「NPO法人 ふわり」理事も務める。

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ある出来事について。

2008年01月31日

こんばんは。
高橋啓一です。

1月も今日で終わりです。
使い古された言葉ですが、あっという間に日々が過ぎていきます。
このブログも1月7日に更新して以来となる訳ですが、この間、決してあってはならないこと、説明できない位に辛い出来事がありました。
この数週間の間も、様々な業務に向き合う毎日だったのですが、ブログ記事を書き込む気持ちは沸き起こりませんでした。
でも、明日から2月になります。
月替わりの勢いを借りて、気持ちの区切りの意味も込めて、これからその出来事について、私の気持ちを文章にしたいと思います。

年末年始が明けた早々の1月9日水曜日、私のお客様のお一方が、突然商売を畳みました。
自分の命を投げ出して。

一報を聞いた瞬間、呆然となると同時に「やっぱり。」と、複雑な感情を抱きました。

その方に出会ったのは、今から2年程前のことです。
前の会社を退職して、ある事業を独立開業されてから2ヵ月後のことです。

その方は、そこそこ大きな額の自己資金を用意されていた訳ですが、事業の規模が、かなり大掛かりだったために、当初は乗り気だった金融機関が難色を示しました。
その一方で、物件の契約や商品仕入を平行して行ってしまった。
すでに多額の契約金や、仕入れ代金を支払った。
そんな言わば、見切り発車状態でスタートした事業も、直ぐに売上が上がれば良かったのですが、そこも全くの見当違い。
充分だったはずの自己資金があっという間に底をついてしまう直前の状態で、紹介を受けて初めてお会いしました。
その時に耳にした金融機関の対応は、非常に不誠実なものです。
「物件の契約書が無いと融資相談には応じられない。」との言葉を受けての見切り発車だと言うのです。
にわかには信じ難い話なのですが、その方は金融機関の指示に従いました。

その際の相談のご縁で、年4回ほどのペースでお会いすることとなりました。
時に一緒に金融機関との折衝を行ったり、時にざっくばらんに失礼なことを申し上げたり。
私よりも1廻り半程年上の方なのですが、今こうして思い返しても、誠意を持って向き合う関係が築けていたと感じています。

この方が事業を始めてから今まで、本当に苦しい日々だったのだろうと思います。
「資金繰り」の一点だけが、いつも頭から離れなかったのだろうと思います。
その後の事業の方向は、ある意味、私の提示したレポートの通りとなりました。
未来予測を具体的な数値で示した上で、「この事業の畳み方」について話し合ったこともありました。

しかし、この方は常に「前に進む道」を選び続けました。
「行くも地獄、戻るも地獄」
「撤退する勇気を・・・」

事業判断は時に、正解や不正解がはっきりと判別できないことがあります。
経営者にとっては全てが自己責任の下に、その都度様々な「決断」を下さねばならないのですが、それが良かったのか悪かったのか、後になっても答えが出ないことは幾らでもあります。
その白黒つかない決断の連続が、経営者を苦しめるのだと思います。
経営者は皆、孤独です。
人の心の内側は誰にも判らないものです。
只、私は、この方の「苦しみ」の一部を察していました。
察していたつもりでした。

1年程前から、半ば自嘲気味に、半ばやけくそ気味に、
「高橋さん、この事業を止めるときは死ぬんだ。」
と、笑いながら話していました。
会う度に、笑いながらそのようなことを言いますので、私はある日、
「社長、これから話すことを真面目に聞いて欲しい。」
と前置きして、
「楽になる事業の終え方は幾らでもある。 だから馬鹿なことを考えたりすることだけは止めて欲しい。」
と話しました。
金融機関の人間が聞いたら怒り出すような、具体的な話もしました。
その時は、相変わらず笑って、お礼を言われた記憶があります。
本当に何か、気になる空気を感じ取りました。

会う度に、私は強く「撤退」を勧めました。
その後、その方は、あらゆる方法で自分の事業の命を引き延ばしてきました。
ここ数ヶ月連絡が途絶えていたのですが、その間の苦労は容易に想像できます。

私は1月7日、仕事始めの日に、何となくその方を訪ねました。
ふと、新年の挨拶でもしようと思ったのです。
不在でした。 名刺を置いて「宜しくお伝え下さい。」と帰りました。

その僅か2日後に、関係者から一報を受けました。

その日から、ことあるごとに、その方のことを考えます。
「自分が救えなかったか?」と自問したり、
「2日前に会うことができたら。」と、考えたりもしました。
その反面、「私ごときのアドバイスでは何も変わらなかった。」とも思ったりもします。
一緒に携わってきた税理士とも、今回の件について色々と話し合いました。

今、こうして文章を書いている間にも、様々な想いが巡ります。

この方は、夢にまで見たであろう「経営者」になった瞬間から本当に苦しみの連続でした。
何の達成感も味わってなかったのではないか。
何の成果も感じられなかったのではないか。
只々、苦しみや苦労の連続だったと推測します。

でも、私に会う度、私の説明する「楽しくない未来」の話を聞いて、感謝して頂きました。
この方には本当に、沢山の「お礼の言葉」を頂いた記憶があります。
その時の誠実な笑顔を想い出します。

私には、
「経営に失敗して馬鹿なことしてしまった人」と、簡単に片付けることはできません。
この方の経営は、多くの「経営指南書」に書かれているようなセオリーからも大きく逸脱していたことは事実でしょう。
しかしながら、実際の経営と云うものは、紙の上に描いてあるとおりにはいかないものです。
シミュレーションの通りにもいきません。
あらゆる人達を巻き込みながら、本筋から外れていくこともあります。
冷静に考えれば、決して取る筈のない行動も、道が見えなくなれば、判断を誤ることだって幾らでもあるのです。

私はこの3週間程、「今回の一件は忘れよう。」と思ったりもしましたが、結局その考えには無理があることに気付きました。

であるならば、私の仕事を通じて、私が関係する「経営者」や「その予備軍」の方々に、今回のことから学ぶべき点を、フィードバックすることが必要なのだ、伝えていくことが必要なのだと考えるに至りました。

綿密な計画の大切さ、まわり道をする勇気、他人の言うことを鵜呑みにしない判断力、はっきりと意志を貫く信念。

なんだかダラダラと取り留めの無い文章になってしまいましたが、ここに書くことの出来ない現実や、首を捻りたくなるような事実。
多くの学びを今後、別の誰かに生かすことで、私のこの胸のモヤモヤを少しでも昇華していきたいと、自分勝手に考えています。

明日から2月です。
気持ちも新たに。

それでは、また。

投稿者:高橋啓一 日時:2008年01月31日 22:29 | コメント (2)

コメント一覧 (2)

高橋様。

はじめまして、行政書士の中島と申します。

ブログの記事をお読みしてなんとも言えない気持ちになりました。
私も開業したばかりですが一応経営者です。
経営することの厳しさ、そして経営者の孤独をこの記事から痛いほど感じました。

私も中々仕事がなく正直今大変な状況です。
最近、事業計画書を作って融資関係の手続きでお役に立てることはできないかと考えて、検索していたところこのサイトにたどり着きました。
またいろいろこのサイトで勉強させていただけたらと思います。
それでは、失礼いたします。

投稿者: 中島 日時:2008年02月11日 01:39

中島さん はじめまして。
コメントありがとうございます。

事業の規模に関係なく、経営者の悩み、葛藤は語り尽くせるものではありませんよね。
経験した者だけが判ることなのだと思います。
只、経営者だからこその「実り」も沢山あるわけで。
お互い切磋琢磨して頑張りましょう。

中島さんのサイトも拝見させていただきました。
とても充実していますね。
参考にさせていただきます。

それでは、また。

投稿者: 高橋啓一 日時:2008年02月11日 11:00

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